2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520149
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高橋 亨 Nagoya University, 文学研究科, 教授 (10093048)
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Keywords | 物語 / 絵 / 歌 / 狭衣物語 / 源氏物語 / 伊勢物語 |
Research Abstract |
王朝物語の絵と和歌の関連について、本年度は、『狭衣物語』の絵画資料の調査と資料の収集を中心として、大きな成果を得た。具体的には、ニューヨーク公立図書館のスペンサーコレクションの『狭衣物語』絵入り本の調査と写真撮影を行い、また宮内庁書陵部本が存在する情報を得て、その写真を入手できたことである。すでにその存在を確認し資料を入手できたプラハ国立博物館本と、架蔵を含む白描絵を加えて、『狭衣物語』承応版本の絵を基準としながら、現在、研究補助者の協力のもとに、『狭衣物語』の絵画場面の一覧表と資料集成を作成しつつある。これまで、その存在がほとんど知られていなかった『狭衣物語』の江戸期における資料を集成しつつあることは、今後の研究の進展のために、大きな基礎的成果であるといえる。 同時に『源氏物語』と『伊勢物語』とを含めた研究全体の総体的な展望も進展している。『狭衣物語』の絵画資料と歌との関連については、岩瀬文庫で行われた奈良絵本・絵巻国際会議で報告し、ブリティシュコロンビア大学で行われた『伊勢物語』ワークショップにおいては、『伊勢物語』と『源氏物語』との関連について発表した。また、ダブリンのチェスタービーティ図書館においては『源氏物語』の絵と絵入り本13種を中心にして調査を行い、奈良絵本・絵巻国際会議にも参加して、国内における他の諸機関の調査や、学会・研究会での参加者との交流とともに、多くの情報を収集した。 王朝物語の絵と和歌の関連について比較研究していくために、『狭衣物語』の絵画資料の整理検討を進め、これまでの研究の蓄積がある『源氏物語』と『伊勢物語』についての新出資料を含めて、その基礎研究についての展望を得たことになる。 これらの中間的な成果については、すでに2つの論文を執筆し投稿ずみであるが、その出版は平成20年度を予定している。
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