2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520150
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内田 賢徳 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (90122142)
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Keywords | 国語学 / 国文学 / 萬葉集 / 訓詁学 / 諸本校合 |
Research Abstract |
前年度に続き、代表者がこれまでに発表した萬葉集の訓字に関する研究を整理し、どれだけが既に終わっているかをまず確認した。その結果、これまでのものが、萬葉集の歌本文に限定されていて、題詞、左注部分について、いくつかの問題が残っていることに気づき、それらをデータに加えるようにした。また、訓詁ということに付随して、中国詩文の用語を萬葉集が受容して歌作する場合、必ずしも忠実であるとは限らない、応用であったり、あるいはいっそ誤用であったりする局面のあることが見出され、研究内容を、それらを含む、広い訓字の用法という視野におくこととした。前年度に果たすべきであった作業、古辞書をテーマとしている資料を、萬葉集に関して再整理する作業は、思ったより進捗せず、今年度に継続することとなった。前年度は、萬葉集に関しても既に論文として発表しているものが多くあるが、それらを萬葉集のテキストへ一元化する作業は、行っていなかったので、それに着手し、その半ばを終えている。しかし、古写本のデータを画像として取り込むことは、資料が増えるにつれ容量が大規模になり、処理に手間を要するようになり、苦心した。前年度の実績を得ても、萬葉集の古写本に関する資料を校本萬葉集に依存するという旧来の方法によったことに起因する不十分さは、なお残存しており、そして、今年度は新たに、萬葉集の訓では新点と称される、鎌倉時代の訓について、三度に亙るそれが必ずしも一様でなく、それはそれで独自の内部区分をする必要が生じ、これまでのデータを見直す作業を行った。そのため、項目数としては大きな進展は得られなかった。しかし、具体的に謝金を使っての作業に一定の目処がついたことは収穫であった。
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