2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520155
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
永池 健二 Nara University of Education, 教育学部, 教授 (60237493)
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Keywords | 王朝歌謡 / 田歌 / 田打歌 / 田植歌 / 稲作儀礼 / 耕田儀礼 / 田遊び / 伊勢神宮 |
Research Abstract |
1.古代における田歌関係資料の収集と整理 これまで田歌として認定されていなかった『播磨国風土記』所載の田打歌を初めとして『本朝世紀』所載のシダラ歌六首など古代・王朝期の田歌資料収集。併せて神宮文庫所蔵の田歌関係資料を多数収集、整理を進めた。 2.三重県伊勢地方における神宮文庫所蔵資料及び伊勢神宮関係農耕神事の実地調査 二度に渡って伊勢市を訪れ、神宮文庫における資料調査と神宮御神田の神事を調査した。神宮文庫では、古代の「御田種下始行事」関連の資料を閲覧調査するとともに御田歌資料6種を調査し、影印の便宜を得て翻刻の作業を進めている。また、神宮の御神田神事三種の内、本年度は「御田植始式」(5月)の調査を実施した。なお20年度は残りの「下種祭」(4月、既に調査済み)、「抜穂祭」(9月)の調査を行う予定である。 3.九州・東海地方に残存する田打に関わる御田・田遊び神事の調査研究 熊本県阿蘇市阿蘇神社の「田作祭」(3)、愛知県設楽町田峰の「田楽」など田打儀礼の要素を濃く残す御田田遊び神事を中心に実地調査を試みた。 (総括) 以上の調査研究によって、田植歌、田植儀礼の普及以前の古代にあっては田打や種蒔を中心とした耕田儀礼とそれに応じた田打歌とが優勢であった事実を、文献と民俗資料の両面から裏付ける見通しを深めた。その成果の一部は別掲の如く歌謡研究会・比較民話研究会合同研究発表会(平成19年12月)において、「耕田儀礼と田歌-伊勢神宮の調査から-」と題して発表した。
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