2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520161
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
西田 正宏 Osaka Prefecture University, 人間社会学部, 准教授 (00305608)
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Keywords | 近世文学 / 学芸史 / 国学 / 懐徳堂 |
Research Abstract |
本年度は主として契沖の『古今餘材抄』についての研究を中心に進めた。具体的には「古今和歌集注釈史と誤読」という論文を著した。そこでは『古今餘材抄』の古今集注釈史上における特色を、古今集の様々な先学のよみを「誤読」と認定し、そのうえで、自説を展開したところあるとした。またそのような姿勢は『餘材抄』以降の古今集の注釈に踏襲されるものであることを検証し、五井蘭洲の『古今通』にもその姿勢が窺われることを述べた。 また『古今餘材抄』の享受という視点から本居宣長の『古今集遠鏡』をとりあげ、宣長が『餘材抄』のどの点を「わろし」と認定しているのかについて検討した。合わせて五井蘭洲の『古今通』についても言及し、古今集注釈史における『古今通』の意義についても述べた。これらのことは「『古今集遠鏡』と『古今餘材抄』」という論文として発表した。 上記二つの論文で言及した『古今通』については、現在、伝本の調査中であり、特に本年度は諸機関に調査に赴き、原本調査し、紙焼き写真等の資料を収集した。また研究協力者の協力を得て、夏部と秋部上および恋部の四本(中之島本・ノートルダム女子大本・国会本・初雁本)対照の翻字を進めている。 以上、当初計画していた『古今集』版本の契沖の書き込みの調査は、国文学研究資料館の移転に伴う休館で、十分ではないが、その他の点については、ほぼ計画通りかそれ以上の成果をあげることができた。
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Research Products
(3 results)