2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520161
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
西田 正宏 Osaka Prefecture University, 人間社会学部, 教授 (00305608)
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Keywords | 国文学 / 日本史 |
Research Abstract |
本年度も、昨年度に引き続き、『古今通』の伝本の調査研究を行い、その成果を「『古今通』恋一四本対照翻刻」として、『上方文化研究センター研究年報』第11号に発表した。既に昨年度の翻刻の解題においても指摘したことであるが、五井蘭洲の意見を反映した「蘭洲本」系統の研究の重要性が、改めて確認された。特に「恋部」では歌の前に「恋」について説く部分があり、「恋」を「男女の恋」だけには考えない蘭洲独自の考えが表明されているのであるが、それが刪補本系統では全く削除されていたのであった。また『古今通』の研究を通して、懐徳堂における和学の様相について考察する必要を痛感し、視点を拡げて、『伊勢物語』の注釈書『勢語通』や、『詠歌大概』の注釈書などにも目配りをしておくために、一部、伝本の調査を行った。また、そのことを課題とする科学研究費の申請も行った。 さらに、関連する研究として、地下歌人の歌書出版への関与を「偽書の出版」(『文学』2010年5/6月号、岩波書店掲載予定)としてまとめ、仮名草子への関与を「古典注釈の変容と展開」(『江戸の知』所収、2010年8月、森話社刊行予定)にまとめた。 時間的な制約、また物理的な量の問題から、『古今通』全体の四本対照翻刻の全ての公刊には至っていないが、今後も継続するとともに、科学研究費を獲得することで、伝本調査などの基礎的研究から得た知見は多くあり、このことについては、来年度(2010年度)以降、論文としてまとめる予定である。
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Research Products
(3 results)