2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520171
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Research Institution | Gifu Women's University |
Principal Investigator |
塩田 公子 Gifu Women's University, 文化創造学部, 教授 (00215948)
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Keywords | 中世王朝物語 / 『海人の刈藻』 / 原作本と改作本 / 天理図書館蔵『海人の刈藻』 / 黒川文庫本 / 常盤松文庫本 |
Research Abstract |
このテーマで科学研究費助成を申し出た理由として、『国書総目録』に記載がある16本写本のうち、既に火災で不明になっている、『徳島県立図書館本』以外の15本のうち、12本を学生達と収集したことにある。その折は、全4巻のうちの巻1巻のみの諸本校合と基礎研究でおわり、貴重な写本のコピーはそのままになっていた。その間に、すでに笠間書院から、『中世王朝物語全集』の1冊として、『海人の刈藻』もとりあげられ、校注者の、妹尾好信氏が、「宮内庁書陵部本」を底本に「尊経閣文庫本」「三手文庫本」「山口図書館本」「島原図書館本」の4本で校訂した本文を作成しておられる。手元に入手していない本文を収集、正確な校本をつくる目的である。最近の情報機器のめざましい進歩により、諸本校合や、校訂本文の提示が、従来の紙媒体にくらべて遥かに便利で扱いやすくなったと思われる。2007年度は、未入手の3本のうち、『天理図書館本』のコピーを入手、翻刻作業をすると同時に、過去に入手し翻刻済みの実践女子大学所蔵の、『黒川文庫本』『常盤松文庫本』の2種の、書き入れ、不明箇所の点検等を、実践女子大学で実物と照合、確認を行った。折から2008年2月、近世の書き入れの存する新出の『海人の刈藻』の伝本5本の存在が、小川陽子氏によって紹介された。。従来の15本の伝本にはそれほど大きな異同はないと言われてきたが、今後新たに確認された伝本もふくめ詳細に検討することによって、系統の確認も可能かと考えられ、今年度はまずその1歩を踏み出したに過ぎないが、今年度の結果を来年度に十分に生かして行きたいと考える。
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