2007 Fiscal Year Annual Research Report
中国の伝奇小説と日本の物語文学に関する比較文化的研究
Project/Area Number |
19520175
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山本 登朗 Kansai University, 文学部, 教授 (40210538)
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Keywords | 物語文学 / 伝奇小説 / 伊勢物語 / 比較文化学 / 比較文学 / 国文学 / 中国 |
Research Abstract |
『伊勢物語』のような歌物語の出現とその後の展開が、中国の伝奇小説とどのような関わりを持っていたかについて、具体的・かつ総合的に考察することが、本年度の目的だが、まずは平成19年8月22〜23目にカナダのブリティッシュ・コロンビア大学で行われた「国際伊勢物語ワークショップ」において「『かいまみ』の背景-仙女譚から『伊勢物語』へ-」と題した口頭発表を行った。同発表では、歌物語の先蹴ともされる『万葉集』巻十六の題詞をまず取り上げ、その内容と『伊勢物語』の間に大きな違いがあることを確認して、その相違が、中国の仙女課やその流れを受ける伝奇小説の影響によって生まれたと考えられることを述べた。その内容は平成20年度中に刊行される予定である。 さらに9月に、永井和子編の論集『源氏物語へ源氏物語から中古文学研究24の証言』に論文「中国の色好み-韓寿説話と伊勢物語」を発表した。同論文では、塀を乗り越えて女性の所に通うという、『伊勢物語』第五段ときわめて類似した趣向を持つ、中国の美男子韓寿にまつわる説話をはじめて紹介し、その相手役の女性がきわめて積極的に振る舞っていることに注目して、その点においても『伊勢物語』と類似していることを述べた。 12月には、国立台湾大学の招待によって台湾に行き、本研究のテーマにもかかわる数度の講演を行うとともに、陳明姿教授をはじめとする台湾の研究者とも交流して、今後の協力体制の基礎を構築することができた。また、平成20年2月13〜25目には、アイルランド・ダブリンのチェスター・ビーティー図書館を訪ね、『竹取物語』や『伊勢物語』などの日本の絵入り本、および中国の絵入り本の調査を行い、絵入り本も含めた今後の研究のための基礎的知見を得た。
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Research Products
(2 results)