2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520177
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
廣川 晶輝 Konan University, 文学部, 准教授 (40312326)
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Keywords | 万葉集 / 菟原娘子伝説 / 墓 / 伝説 / 高橋虫麻呂 / 田辺福麻呂 / 大伴家持 |
Research Abstract |
本研究は、日本文学史において、○『万葉集』(高橋虫麻呂歌・田辺福麻呂歌・大伴家持歌の3作品)、○『大和物語』第147段「生田川」、○観阿弥作謡曲「求塚」、○森鴎外作戯曲「生田川」、というように上代から近代にかけて長く作品化された「菟原娘子伝説」の初発の位置にある『万葉集』の作品の表現を分析し、「墓」が作品の中の<場所>として選ばれていることの意義を追究している。その結果、 (1)「墓」という<場所>には死者への「偲ひ」の時間が堆積していること。 (2)墓の中に眠る人物と第三者の関係にある「作品の中の我れ」も、この堆積に立ち会うことで「偲ひ」に参加できるようになる機制があること、つまり、「墓」という<場所>が、「偲ひ」の回路を開き得ているということ。 (3)「墓」とは、肉親(やそれに準じる親しい人物)を偲ぶ「よすが」となるものだが、第三者に対しての顕示・アピールの機能をも含み持つということ。 などを明らかにした。この研究成果を、2008年5月、新典社(東京都千代田区神田神保町)より、『死してなお求める恋心-「菟原娘子伝説」をめぐって-』と題して刊行した。この著書は新書である分、一般社会人や生涯教育を志す人々など多くの国民に解りやすい表現にすることに努めた。この点、科学研究費補助金交付の成果の、国民への開示・説明のはたらきも、十分に果たし得ているものである。
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