2008 Fiscal Year Annual Research Report
古活字版成立に関する総合的研究-仁和寺所蔵古活字を中心にして-
Project/Area Number |
19520179
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
村上 明子 Kansai Gaidai University, 国際言語学部, 教授 (70261112)
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Keywords | 仁和寺所蔵古活字 / 心蓮院版倭玉篇 / 古活字版印刷 / 勅版 / 慶長古活字 / 寺院出版 / 東アジアのメディア / 近世東アジア史 |
Research Abstract |
本年度の研究実績の概要は以下の通りである。 第1に、古活字のデジタル写真をテキストデータ化した資料を整備し、『倭玉篇』影印本・国会図書館所蔵本・天理図書館所蔵本と照合して使用活字を特定し、古活字と諸本の使用活字対照一覧表を作成した。その結果、古活字本諸本成立の関係が明白となった。 第2に、古活字研究のための基礎的な文献目録を日中韓の研究協力者、およびキリスト教研究者に依頼して作成し、同時に研究文献の収集を行った。 第3に、仁和寺に残存する心蓮院文書、所蔵の古活字本その他の調査、および古活字刊行に関する記録の有無の確認を仁和寺側に依頼し、その報告書を得た。 第4に、木製活字印材の使用樹種を特定するため、京都大学生存圏研究所に分析を依頼し、その結果、古活字のすべてが桜材であるとの結果を得た。 第5に、活字の付着物、および使用紙材についての成分分析を国立奈良文化財研究所に依頼し、CT検査を経て個々の成分についての報告書を得た。 第6に、第4・第5の結果を踏まえ、特徴のある活字を取り出して、再度、彫字技法・印刷技法、使用状況についての分析・考察を行った。 最後に、以上の成果を総合して、仁和寺所蔵古活字の調査報告書、および図版を作成し、古活字版成立に関する諸説を検証した。
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Research Products
(2 results)