2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520181
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Research Institution | Suzugamine Women's College |
Principal Investigator |
朝倉 尚 Suzugamine Women's College, 言語文化情報学科, 教授 (80033231)
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Keywords | 五山文学 / 義堂周信 / 五山版 / 空華集 / 重刊貞和集 / 観念的世界 / 禅的発想 / 博引旁証 |
Research Abstract |
本課題を達成するために必要である五山版、義堂(1325-88)に影響を与えた師僧の作品集、交友の存した僧の作品集について、所在を確認し、収集すべきか否かを判断するために、駒沢大学図書館、内閣文庫、国会図書館、京都大学附属図書館、天理大学附属天理図書館などで実地に踏査した。 義堂編著偈頌集『新撰貞和集』『重刊貞和集』に関連しては、彼地著名禅僧の五山版作品集若干部に的を絞り、重点的に複写・収集・整理した。 虎関師錬(1278-1346)が宋代禅僧の作例によって四六文の作法を説いた『禅儀外文集』については、義堂の抄物が存在するとされるが(未確認)、五山版を始め、注釈書をも含めて集中的に収集した。従来不分明である虎関の義堂への影響関係が解明されることが期待される。 義堂の抄物も伝存するという(所在不明)、『東山空和尚外集』については、天理大学の五山版三本をはじめ、京大谷村文庫本などを複写・収集し、比較・検討する体制を整えた。同じく、義堂の抄物が存するという(所在不明)、『枯崖和尚漫録』については、天理大学本を複写・収集した。 以上は、義堂が主として五山版によって受容し、観念的世界の形成を果たした典籍と考える。 義堂の編著『重刊貞和集』については、京大谷村文庫本の収集・検討を通じて痛感されたが、義堂の観念的世界の形成過程を探る上で、五山版の作者名・題辞・本文に施される注記について、整理・検討が必要である。義堂の作品集『空華集』の第一読解に関しては、義堂が常に講じていたとされる『三体詩』の抄物の利用価値が高いので、鋭意収集に努力するとともに、活用を心掛けた。
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