2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520183
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
寺田 龍男 Hokkaido University, 大学院・メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (30197800)
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Keywords | 英雄叙事詩 / 軍記物語 / 比較文学 / 口承文芸 / 文字文化 |
Research Abstract |
平成20年度は、申請時に記した研究計画・方法では(1)「中世日本における文芸活動」と(2)「オリジナルと写本」の2点を中心にすえる予定であった。しかし前者については19年度に論文一篇を公表することができた。そこで(2)が課題となったが、本助成研究と先行する2度の助成研究(萌芽研究・課題番号12871058および基盤研究(C)・課題番号15520212)めスタートを支援していただいたアレクサンダー・フォン・フンボルト財団より3ヶ月の招聘を受け、ミュンヘン大学のPeter Strohschneider教授(ドイツ学術評議会議長兼任)の下で研究活動に専念することができた。同氏の助言や、数多くの研究者とさまざまなテーマについて論ずる機会を与えられたことは幸いだった。 その結果、以下の新しい方針で臨むこととした。 [○!A]日本の中世文学は軍記物語も含めて多数がすでに英語などに翻訳されているものの、中世ドイツ語圏を中心とするヨーロッパの物語の日本語訳は少なく、比較・対象研究の基盤が脆弱すぎる。そのため申請者は「ディートリヒの冒険物語」の一作である『アルプハルトの死』を翻訳し、訳稿を完成させた。著作権者の了解が得られ次第、刊行の予定である。 [○!B]これと関連して上記の「オリジナルと写本」研究は、ドイツ語圏の英雄叙事詩の翻訳がある程度出揃った段階で、日本学研究者との共同プロジェクトとして企画することとした。 [○!C]口承文芸活動の実態がいまだ明らかでないヨーロッパの研究に対して、史料が豊富な日本中世における状況を前年度に続き分析記述した。平成20年度は研究および議論の成果を公表するにいたらなかったが、21年度以降発表する予定である。
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