2009 Fiscal Year Self-evaluation Report
The Romantic Women Writers'Contributions to Historical Novels
Project/Area Number |
19520188
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
ヨーロッパ語系文学
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
SUZUKI Mitsuko Tohoku University, 大学院・国際文化研究科, 教授 (60073318)
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Project Period (FY) |
2007 – 2010
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Keywords | 歴史小説 / シドニー・オーエンソン / サー・ウォルター・スコット / ロマン主義時代 / マライア・エッジワース / アイルランド併合 / 植民地主義 |
Research Abstract |
本研究の目的は、以下のとおりである。歴史小説は、19世紀初頭のいわゆるロマン主義時代に誕生し、この時代にもっとも隆盛をきわめた小説ジャンルの一つであった。しかしながら、歴史小説成立を社会歴史的側面から分析したGeorg Lukacsは、Sir Walter Scottを歴史小説の創始者であると論じ、同時代の作家相互間の影響関係を考察することは無意味であると断じた。その結果、この時代に盛んに出版された小説群は、長い間考察の対象から外される結果となった。そこで、本研究では、従来等閑視されがちであったMaria Edgeworth、Sydney Owenson、Jane Porter、Anna Porter、Jane Westなどのロマン主義時代の女性作家たちの作品を、時にCharles Robert Maturinなどの同時代の男性作家の作品と比較検討しながら、仔細に分析し、歴史小説という新たなサブジャンル構築に女性作家たちが多大なる寄与・貢献をおこなったことを検証する。さらには、その検証の過程で、女性作家たちが構築し発展させた歴史小説が、ScottのWaverley(1814)を始めとする、いわゆるウェイヴァリー小説に、小説のプロット、枠組み、テーマ、素材、手法などを提供したことを跡付ける。さらには、歴史小説執筆・出版が当時の女性作家にとっていかなる意味をもっていたのかを考察する。
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