2008 Fiscal Year Annual Research Report
ブレイクの複合芸術においてコントラポスト体位をとる女の表象
Project/Area Number |
19520192
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
今泉 容子 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (40151667)
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Keywords | ブレイク / 複合芸術 / 女 / 裸体 / ジェンダー / コントラポスト / フェミニズム / 18世紀 |
Research Abstract |
この研究の目的は、イギリスロマン派詩人・画家ウィリアム・プレイク(William Blake)の複合芸術作品に頻出する人間の「体」の「ポーズ」に注目し、とりわけ裸体の女がとる「コントラポスト」というポーズの意味を解明することであった。 片足に重点をかけて体をゆるいS字カーブ状にしなわせるコントラポストのポーズは、芸術作品における裸の女の最初の出現例である「アフロディテ」が取ったものである。ブレイクの複合芸術においては、アフロディテ集団と言ってもよいほど多くの裸の女たちが、アフロディテのポーズをとって立ち現れるが、彼女たちが示すさまざまなコントラポスト体位のバリエーションを検出した。 2年度目(最終年度)にあたる平成20年度の研究の焦点は、ブレイク作品そのものの分析である。ブレイクの作品のなかには、初期から後期にいたるまで、ずっとコントラポスト体位が登場する。しかし、「だれがjrどこで」コントラポスト体位をとるかは、一定ではない。初期の作品においてコントラポスト体位をとるのは、女たちではなく、小さな男の子たちであった。それが、女たちがしだいにコントラポストの座を獲得していったことを分析した。 コントラポスト体位をとる人物たちが変化していくと同時に、コントラポストの意味そのものも変化していくことが、明らかになった。その分析のさい、とくに重点を置いたのは、1年目で検出した18世紀のコントラポスト表象の標準的モデルを、ブレイクがどのように継承し、またどのように変容させていったかを解明することである。 上記の研究成果の一部は、『国際日本研究』に発表したが、大半は未発表である。つぎの機会に、未発表部分をひとつの論文にまとめたい。
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