2007 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ演劇の理論と実践におけるリベラリズムと民主主義の問題:冷戦以降の再検討
Project/Area Number |
19520203
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
戸谷 陽子 Ochanomizu University, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (30261093)
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Keywords | アメリカ演劇 / 冷戦期の演劇 / リベラリズム / 民主主義 / アーサー・ミラー / テネシー・ウィリアムズ / 文化政策 |
Research Abstract |
本研究の目的は、20世紀以降のアメリカ演劇および舞台芸術の理論と実践における、ポリティクスの諸問題についての研究の一環として、アメリカ演劇におけるリベラリズムと民主主義の概念の形成とその表象を、とくに冷戦期以降の国家体制が直接・間接的に演劇に与えた文脈を意職しつつ検証・再検討し、冷戦を経て20世紀末に顕在化したグローバリゼーションの問題と文化・表象芸術の関わりにおいて、舞台芸術論および現代アメリカ演劇史を見直すことにより、その固有の問題と相互の関り合いを考察し、20世紀の歴史的文脈の中に位置づけ、今世紀の展開を標榜するための学術的指標を提示することにある。 まず、研究初年度として、冷戦と文化統制、封じ込めの政策と演劇との関係についての基本文献、具体的な資料となる文献を中心に、冷戦に関する文献を収集・通読し、同時に基礎研究として、19世紀以降のアメリカにおいて性の政治学や権力の力学が資本主義と結びつけられて構成・布置される過程およびリベラリズムという概念の形成過程を確認しつつ、背景となるアメリカの思想史を概観する作業を進め、さらにリベラルな主体やマルティテュードといった概念で説明される現在のグローバル資本主義下におけるリベラリズムの諸言説を演劇という枠組みにおいて検証する作業を行った。 また、当該年度の個別研究テーマ「政治的リベラリズムの演劇:マッカーシイズムとアメリカニズム」に沿って研究を進め、冷戦体制とマッカーシイズムおよび文化統制の歴史を辿る資料を収集し、基本的な概念を整理した。日本アメリカ文学会東京支部においてシンポジウム『冷戦下の表象文化空間再考-国家・ジェンダー・イデオロギー』を企画、司会および講師として「冷戦期の演劇:ミラー、ウィリアムズの描くセクシュアリティの奇妙なねじれ」を発表した。
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Research Products
(2 results)