2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520205
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
安村 典子 Kanazawa University, 文学部, 教授 (20293376)
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Keywords | プロメテウス / ヘーシオドス / ギリシア神話 / 神統記 / 仕事と日 |
Research Abstract |
本研究の目的はプロメテウス神話を手がかりとして,(1)この神話のもつ意味を明らかにし,この神話を生み出した古代ギリシア人の精神を考察すること,(2)近代においてこの神話の意味が変容していったのはなぜであったのか,その理由を究明し,この神話のもつ今日的な意味を考察すること,以上の2点について研究することである。 本年度は主として上記(1)の問題について考察を行った。プロメテウスという神は,いかなる存在であり,ギリシア神話の中でいかなる位置をしめているのか,オリュンポスの主神ゼウスとはいかなる関係をもっていたのか,という問題に焦点をしぼり,ヘーシオドスの『神統記』と『仕事と日』のギリシア語テキストの解釈に関わる研究を行った。この二つのテキストを通じて,神であるプロメテウスが,なぜゼウスに反旗を翻して人類のために働いたのか,プロメテウスとは,一体何者なのか,彼は本当に神なのだろうか,という問題について考え,これらの問題と「パンドーラの壺」に残った「希望」との関連について考察した。
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