2009 Fiscal Year Annual Research Report
米国社会と文学が歴史化する「男らしさ」:「戦争後」を生きる「奇形の男性像」研究
Project/Area Number |
19520206
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
久保 拓也 Kanazawa University, 学校教育系, 准教授 (80303246)
|
Keywords | アメリカ文学 / 男性性研究 / ジェンダー学 |
Research Abstract |
本研究は、米国社会および米国の文学作品を考察するため「男性性研究(Masculinity Studies)の視点を援用し、これにより明らかになると思われる様々な「奇形の男性像」の問題を考察するものである。これを通じ「男性とはどのような存在か」という普遍的で、同時に現代的な問題の解決に取り組むものである。2009年度の当研究は、「不完全な」男らしさを抱え苦しむ男性の姿を、特に、19世紀、南北戦争後の社会とそれを映し扱う文学作品に注目して考察することを続けた。 今年度の当研究の最大の成果は、米国ニューヨーク州エルマイラにあるエルマイラ大学にて開催された、マーク・トウェインの研究情勢について3日間にわたり集中的に討議を行う最大の国際学会(The Sixth International Conference on the State of Mark Twain Studies)での研究発表、および、国際的なトウェイン研究雑誌(The Mark Twain Annual)への論文投稿(審査中)である。研究発表は、マーク・トウェインの顧みられなくなった作品を取り上げ、作品中に反映される南北戦争のわずかな痕跡から、登場人物の男性性のあり方がトウェイン作品を論ずる際の重要な要素として立ち現れることを明らかにしたもので、米国トウェイン研究者からも大きな関心を持って受け入れられた。
|