2010 Fiscal Year Annual Research Report
米国社会と文学が歴史化する「男らしさ」:「戦争後」を生きる「奇形の男性像」研究
Project/Area Number |
19520206
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
久保 拓也 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (80303246)
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Keywords | アメリカ文学 / 男性学 / マーク・トウェイン研究 / 男性史 / ジェンダー研究 |
Research Abstract |
本補助金支給最終年の平成22年度は、米国の雑誌への論文掲載、米国の学会を含む三度の研究発表という成果を残すことができた。これらにより、当研究が米国でも研究者の間で高い関心を呼ぶ、価値のあるものであることを明らかにすることができたと考える。 米国の雑誌、The Mark Twain Annualに掲載された論文は、2009年に米国ニューヨーク州エルマイラ大学で開催されたThe Sixth International Conference on the State of Mark Twain Studies.において注目された論考である。南北戦争において損なわれた身体の表象を通じてマーク・トウェインが表出する、「奇形の男性性」の苦しみと、その米国における重要性を論じたものである。この論文が米国雑誌へ掲載されたことは、当研究の重要性を証明していると考える。 今年度行われた三度の研究発表は、すべて今回の研究テーマと関連する、Mark Twainの作品における「身体」の表象を巡るものとなった。特に、米国ジョージア州・アトランタで2010年11月に開催された、South Atlantic Modern Language Assbciation年次大会において、米国という国家の「奇形」の身体性に注日した研究発表をおこなったことは重要であった。いわゆる「結合双生児」と米国のイメージが持つ相似性に関する歴史的な議論から、トウェイン作品を分析し、従来論じられることなかった作者の視点を探ることを試み、注目を集めた。またこれに前後する形で、日本英文学会中部支部大会シンポジアム、および、日本アメリカ文学会中部支部の例会において、この視点をさらに発展させることを意図した課題に結びつけて発表した。現在それに基づいた論文を執筆中である。 中である。
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