2009 Fiscal Year Self-evaluation Report
On the Concept of Matrix in 20^<th> Century German Theatre and Music
Project/Area Number |
19520210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
ヨーロッパ語系文学
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
FUJII Tagiru Nagoya University, 国際言語文化研究科, 教授 (00165333)
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Project Period (FY) |
2007 – 2010
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Keywords | 独文学 |
Research Abstract |
当研究の目的は、資本主義経済下の大量生産システムにおいて、文学・芸術の創造と受容もまた、生産と需要(消費)のサイクルに取り込まれるほかない状況のなかで、いわば歴史的時間の外に投げ出され、自らのよってたつ起源を失わざるをえなくなった20世紀の作家や芸術家たちが、意識的にせよ無意識的にせよ、主題化することになる母型の概念をキーワードとして、20世紀ドイツ語圏の演劇と音楽が取り組んできた諸問題を明るみにする点にある。そのために、下部構造(社会的・経済的諸条件)と上部構造(文学・芸術などの創作活動)とのあいだのこれまで指摘されることのなかった具体的な関連をあわせて解明したいと考えている。 たとえば音楽の場合、産業革命以降の資本主義の発展とともに調的和声音楽は成熟していったが、芸術音楽の生産(作曲・演奏)および消費(聴取)は、そうした資本主義社会のメカニズムと相関関係にあると考えられる。以上の観点からつぎのことを明らかにする。 (1)産業革命以降の資本主義の発展なしに、和声音楽の爛熟はあり得なかったこと、またポスト産業資本主義の台頭と作曲家シェーンベルクの"12音システム"に端を発する和声音楽システムの崩壊とは相互にリンクしていること。 (2)20世紀初頭以降の調的和声の崩壊とそれによってもたらされたオペラの"死"を価値形態および恋愛形態との関係から捉えることにより、20世紀の音楽劇に見られる/聴かれる"症候"が、価値形態および恋愛形態の母型(マトリクス)によって必然的にもたらされたものであること。
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Research Products
(6 results)