2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520220
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三谷 研爾 Osaka University, 文学研究科, 教授 (80200046)
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Keywords | 多言語地域 / 文化資源 / ボヘミア / シレジア / 国民文化 / 記憶の共有化 |
Research Abstract |
4年間の研究実施期間の第2年次にあたる本年度は、ひきつづきドイツ、チェコ、およびポーランドにおける関連資料の所蔵状況とその内容を検討し、多言語地域の文化的伝統の「資源化」の観点から基礎データ収集をすすめた。ボヘミアに関しては、前年度に収集した展覧会資料を分析し、とりわけ社会主義体制が崩壊した直後、オーストリアのブルゲンラント州立美術館でおこなわれた展覧会のカタログにより、1990年代前半の段階における多言語文化評価の萌芽的な位相を確認した。さらに、大阪大学グローバルCOE「コンフリクトの人文学」とリンクさせておこなった実地調査により、ボヘミアとの重要な比較対象となるモラヴィアにおける文化資源化の現況にふれることができた。これらの研究から得られた、地域文化を中欧全域におけるひとやモノ、さらには情報の流動化のなかでとらえるという知見を、日本独文学会秋季大会でのシンポジウム「プラハとダブリン」(2008年10月13日)、ならびにフェニックスホールでのレクチャーコンサート「モラヴィアから世界へ」(2009年1月24日)において発表した。シレジアに関しては、ゲアリッのシレジア博物館を対象に聞き取り調査を継続しているが、やはり第二次世界大戦後にこの地域から追放された大量のドイツ系住民の地位をめぐるすぐれて政治的な問題と、文化資源化の問題とを複眼的に理解するために、文献資料のいっそう系統だった調査が欠かせないと判断している。
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Research Products
(2 results)