2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520220
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三谷 研爾 Osaka University, 文学研究科, 教授 (80200046)
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Keywords | 多言語地域 / 文化資源 / ボヘミア / シレジア / 記憶の共有化 / 展覧会 |
Research Abstract |
本年度は、ボヘミアを中心に、引き続き同地の多言語的な文化環境にかかわる学知の文化資源化の状況について分析した。 ベルリンおよびプラハでの文献調査により、<プラハのドイツ語文学>の研究史については、20世紀前半におけるドイツ側およびチェコ側の標準的な文学史記述をあらたあで精査し、さらに冷戦期およびポスト冷戦期を通じた研究史的展開めあとづけをおこなった。これらの成果は、著書『世紀転換期のプラム モダン都市の空間と文学的表象』の序章において、詳しく論じた。 こうした研究史の展開のなかで浮上した、多言語環境を背景にもつモダニズム文学の比較研究プロジェクトである科研基盤研究(A)『プラハとダブリーン 20世紀ヨーロッパ文学の二つのトポス』に連携研究者として参加し、文化資源化の観点から写真メディアと文学テクストの相互作用について報告するとともに、前年度の成果を論文「カフカにおける<交通>とアデイテンティティ」として発表した。さらに、Hans Dieter Zimmermann教授を招いてのワークショップの司会をつとめ、ボヘミア周縁地域(いわゆるズデーテンラント)でのドイツ-チェコの民族的・言語的対立と共存の状況について、最新の知見を得た。 また、文化資源化の具体的なすがたとして、1995年にベルリン文学館によって企画され、プラハやハンブルクを巡回した展覧会《プラハのドイツ文学》について、そのコンセプトと展示の実際を、展覧会カタログと展評、ならびに関係者へのインタビューに基づいて再構成し、論文「展示された文学史<プラハのドイツ語文學>とそのベルリン展(1995)の射程」にまとて発表した。
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Research Products
(3 results)