2007 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおけるボードレール以降の詩的言語について
Project/Area Number |
19520225
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
井上 直子 Osaka Kyoiku University, 教育学部, 准教授 (80314441)
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Keywords | 仏文学 / 詩 |
Research Abstract |
本年度は、ボードレール、マラルメ、ランボー、ロートレアモン、クローデル、ヴァレリー、アポリネールの言語観について調べた。これまでの研究では、それぞれの詩人の作品分析、それぞれの言語観を取り上げたものはあっても、彼らの言語への取り組みの中で、共通する点を挙げたものはない。この点を探ることで、芸術哲学の中に詩的言語を位置づける、という新たな視点を示すことができると思われる。 ボードレールは、詩を書く喜びだけで作り上げられた作品を純粋詩と考え、こうした作品の中に感覚と言葉とが響きあう一つの宇宙を作り上げようとした。このような詩的宇宙についての考えはマラルメ、ヴァレリーにも見出される。また、ランボーは自分の感じとったものを完全に表現しうる言語を作ることを目指し、ロートレアモンは言葉と言葉の結びつきに意外さを追求する。これらの詩人に共通するのは、言語を.記号としてではなく、作品の中でその場だけの意味を持つものとしてとらえようとする態度である。このように、19世紀から20世紀前半にかけての詩人たちの言語観は、芸術の自律性という問題を反映しており、これはプラトン以来古典主義まで続いた芸術のミメーシス性の崩壊を告げるものである。 以上の考察のうち、ヴァレリーに関するものを論文、及び著書にて発表した。
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Research Products
(2 results)