2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520232
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
原野 昇 Hiroshima University, 大学院・文学研究科, 名誉教授 (80069161)
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Keywords | 仏文学 / 西洋史 / 文学の社会学 |
Research Abstract |
1. オランダのユトレヒト大学で2009年7月21日-24日に開催された第18回国際動物叙事詩学会に出席し,欧米を中心とする各国から参加していたヨーロッパ中世文学研究者とヨーロッパ中世における「文学の場」について議論し,各国における「文学の場」の視点からの研究の現況について情報を交換した。特に国際動物叙事詩学会会長のPaul Wackersユトレヒト大学教授からは,オランダやベルギーなどの低地地方におけるフランス中世文学の受容について多くの教示をいただいた。また研究協力者のBianciottoポワチエ大学名誉教授と研究打ち合わせを行った。イマジネールの世界における地理的,空間的場が「文学の場」に与える影響について考察を深めることができた。 2. 慶應義塾大学日吉キャンパスで,研究協力者の不破有理・同大学教授から,イギリス中世文学,およびケルト文学における「文学の場」,特にヘンリー2世(12世紀)の宮廷におけるそれについて指導を受けた。 3. 池上俊一・東京大学教授から,昨年度に続き,歴史学の立場からの種々の助言をもらった。文学のみでなく美術,音楽を含めた芸術一般,さらに社会や思想の面を考慮して「トポス」,「場」,「定型性」の問題を考察する必要性など,有意義な示唆を受けた。 4. 山代宏道・広島大学大学院文学研究科教授,同水田英実教授,同中尾佳行教授,同地村彰之教授と,ヨーロッパ中世における祝宴の問題について,議論を行った。その議論をもとに,本研究のなかで,文学の主題,モチーフを考慮することによって,「文学の場」に新しい視点を加えることができた。
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