2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520233
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島谷 謙 Hiroshima University, 総合科学研究科, 准教授 (00243519)
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Keywords | ドイツ文学 / 歴史 / 想像力 / シラー / C.F.マイヤー / S.ツヴァイク |
Research Abstract |
本研究は、近現代の複数の作家の史実(歴史)を踏まえた作品、歴史文学を対象とします。 対象作家はドイツ古典主義を代表するF.シラーから20世紀のS.ツヴァイクに及びます。 時代や社会体制の変動は当然、文学作品に影響します。そして作家の世界観や想像力、方法論の相違が客観的で同一なはずの事実(史実)の表現に大きな差異をもたらします。 史実を見極めながら、時代(史実)に対峙し発動される想像力と方法論の在りようを捉え、文学という器の可能性を探ります。 一世紀半にわたる歴史的変化を見据えて作品を考察することは、一時代に限定した作品の考察とは異なる認識をもたらします。近代から現代までを射程に置きます。 本研究の特色は歴史研究と対照させながら、史実を扱った文学における想像力の機能の在り方、史実との関わりを作品の中で具体的に究明する点にあります。 本年度は清水考純『ルネサンスの文学』や西村雅樹『世紀末ウィーン文化探求』などを取り上げて、新聞で書評しました。そこでもまた、歴史と文学の関わりに関する考察を深めました。 さらに、今年度後半は日本ビューヒナー学会の要請に応じ、「ドイツ表現主義とビューヒナー」という論考に取り組み、19世紀の作家ビューヒナーを20世紀ドイツ表現主義の作家エルンスト・トラーやゲオルク・カイザーがどう捉え、作品創造に活かしていったかという点に取り組んだ。
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Research Products
(3 results)