2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520233
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
島谷 謙 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (00243519)
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Keywords | 歴史文学 / 想像力 / シラー / C.F.マイヤー / S.ツヴァイク / G.カイザー |
Research Abstract |
本研究は、近現代の複数の作家の史実(歴史)を踏まえた作品、歴史文学を対象とする。 従来、ドイツ語圏における歴史文学を対象として、史実と想像力の関係を考察した研究が少ない。屈曲に富んだ長い歴史のあるドイツ語圏で書かれた作品を考察するうえで、史実を見極めたうえで、史実と想像力の関係を考察することが不可欠である。 史実を見極めながら、時代(史実)に対峙し発動される想像力と方法論の在りようを捉え、文学という器の可能性を探る。 対象作家はドイツ古典主義を代表するF.シラーから20世紀のS.ツヴァイクに及ぶ。 一世紀半にわたる歴史的変化を見据えて作品を考察することは、一時代に限定した作品の考察とは異なる認識をもたらす。近代から現代までを射程に置いた。 主な研究成果としては、すでに『歴史と想像力』という研究書を世界思想社から刊行した。 本年度発表した「ドイツ表現主義とビューヒナー」(子午線ゲオルク・ビューヒナー論集に依頼を受けて特別寄稿)という論文では、19世紀前半期に活動したビューヒナーの作品が、20世紀前半に活動した表現主義の劇作家トラーとカイザーの作品へ与えた影響関係を考察した。一世紀に及ぶ時を隔て、19世紀作家と20世紀作家が似たモチーフをどう捉え、扱い、描いたかを考察した。
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Research Products
(1 results)