2009 Fiscal Year Annual Research Report
オースティンを中心とした18世紀イギリス小説の医学文化論及びジェンダー論的研究
Project/Area Number |
19520237
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
武井 暁子 Chukyo University, 国際教養学部, 教授 (00403634)
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Keywords | 18世紀イギリス小説 / ジェンダー / 医学史 |
Research Abstract |
21年度の研究は最終年度にあたり、19-20年度に行ったオースティン(以下JAと略記)の作品と他の18世紀イギリス小説で取り扱われている感受性のテーマを18世紀の医学及び社会文化風土との相関関係を明確にし、JA作品が18世紀イギリス小説の笑いやユーモアを継承した上で、女性の感受性をことさらに美徳として褒め称える文化を批判し、19世紀イギリス小説の重要なテーマである女性の社会的地位の向上を先取りしていることを明らかにした。また、医学風土については、JA作品が素人療法から専門家による治療へのシフトを巧みに描いていることが判明した。 研究成果の一部は、21年7月、英国チョートンで開催された学会"New Directions in Austen Studies"において発表を行った。内容は、上で述べた、素人療法から専門家による治療でのシフトである。海外の多数の研究者からの質疑応答により、それまでの研究計画・方法の修正改善に有益な示唆を得た。さらに、発表原稿に加筆し、編集者のアドバイスにより、JAの時代より前の医学書も参照し、再査読を経て、Persuasions On-Line 30巻1号に掲載となった。1冊の研究書としてまとめるには、残念ながら今年度で時間切れになり、今後さらに時間がかかるが、当初の目標であった、研究成果を英語で発表し、国際的な評価を受けることが出来た。 上記に加えて、22年10月、アメリカ合衆国ポートランドで開催される北米JA協会の年次大会で研究発表をすることになった。内容はNorthanger Abbeyの中心舞台であるBathの温泉保養地としての特性とそこに集う人間に共通点-嘘つきの深層心理の分析である。 21年8月25日~9月11日までイギリスに出張し、マンチェスター大学、大英図書館等において資料収集を行った。
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