2009 Fiscal Year Self-evaluation Report
The Early Nouvelle Revue Francaise and its contemprary literary magazines (such as Vers et Prose in particular)
Project/Area Number |
19520239
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
ヨーロッパ語系文学
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
YOSHII Akio Kyushu University, 大学院・人文科学研究院, 教授 (40200927)
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Project Period (FY) |
2007 – 2010
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Keywords | 仏文学 / 新フランス評論 / 詩と散文 / アンドレ・ジッド / ポール・フォール |
Research Abstract |
報告者は,すでに科学研究費補助金による2つの研究--「アンドレ・ジッド草稿研究」および「初期『新フランス評論』誌とフランス語圏ベルギー文学」--をつうじて,未刊書簡をはじめとする多数の文献や資料を渉猟し,これによって20世紀初頭フランスの文学環境にかんする実証的知見を深めた。とりわけジッドが1909年に創刊した「新フランス評論」誌は一貫して主要な研究対象であった。 上記の実証的蓄積をつうじて「新フランス評論」誌創刊前後のフランス国内外の文学交流の重要性を強く認識したことが本研究課題の着想源となっている。周知のように「新フランス評論」が編集方針のひとつとして標榜したのが20世紀の新たな文学理念の確立であった。外国文学を積極的に受容・紹介したのもその一環であったが、国内的には「世紀末象徴主義との決別」という面を強く打ち出していた。ポール・フォール主宰の「詩と散文」(1905年創刊)をはじめ、いくつかの文芸誌が象徴主義の継承を謳ったのとは対蹠的な編集方針だったといえよう。だが実際には、アンドレ・ジッドら「新フランス評論」グループはこれらの文芸誌とは相当に密接な関係を保ち、頻繁に情報を交換しつつ、ときには相互に作品を提供しあったのである。 本研究の目的は、このように理念と現実とが複雑に錯綜する同時代文学環境の具体相を実証的に考究し、あわせて、第1次大戦を機に象徴主義諸誌が相次いで消滅した後も「新フランス評論」誌が如何にして存続し新たな発展・成長期を迎ええたのかを探ることにある。 まずは「詩と散文」誌以外にも,編集者間の人的繋がりをつうじて「新フランス評論」誌と交流のあった同時代文芸誌類の確定から始め,次いで,主要執筆者による著作・回想録など印刷文献にくわえ,彼らがジッドと交した書簡も参照する。これらの書簡をはじめ未刊行の資料はその多くが複製不可のため,とりわけ初年度~第2年度はフランス本国での実地調査が大きな比重を占める。以上の作業成果にもとづき最終年度では,研究課題にかんし「具体的かつ実質的な概観の提示」を目指す。
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