2007 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカン・ルネッサンスにおける同時代ヨーロッパ思想のインパクト研究
Project/Area Number |
19520241
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
竹内 勝徳 Kagoshima University, 法文学部, 教授 (40253918)
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Keywords | 英米文学 / ホーソン / メルヴィル / 西洋思想 / アメリカン・ルネッサンス |
Research Abstract |
年次計画では、まず、平成19年度はホーソンとメルヴィルを対象に、(A)伝記的アプローチ、(B)テクスト分析、(C)コンテクスト研究、の3つのアプローチのうち、アプローチ(A)、(B)を実施した。着目した伝記的局面としては、(1)超絶主義者を介したホーソンとカント哲学の出会い、(2)エリザベス・ピーボディを介したホーソンとフレーベル言語学の出会い、(3)ホーソンを介したメルヴィルとカント哲学の出会い、(4)ホーソンのフレーベル言語学への傾倒に対するメルヴィルの反応、(5)メルヴィルによるダーウィン受容、が中心であった。具体的な作業としては、思想家、作家双方の著作の精読が中心であった。また、テクスト分析において思想と文学を比較する軸として、「『モノ』=身体と精神の関係性」を設定し、ヨーロッパ思想から吸収した主体と客体の関係が、ホーソンとメルヴィルによっていかなる形に変容させられたかを考えた。 研究成果としては、まず「アメリカン・ダイアレクティクスの行方」が挙げられる。この発表において、ホーソンとメルヴィルの散文としての最終作を比較し、カントらヨーロッパ思想からの影響を受けたと思われる現象観の変容や、ヘーゲルとはまた様態の違う弁証法的認識論を展開していく様を明らかにした。その中で特に力点を置いたのは、フレーベルやピーボディからの影響と思われるホーソンの教育観の位置づけであった。また、本研究で探求した「『モノ』=身体と精神の関係性」を応用し、現代作家であるポール・オースターのCity of Glassを題材として、『九州アメリカ文学』に研究論文を掲載した。
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Research Products
(2 results)