2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520249
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
柏木 加代子 Kyoto City University of Arts, 美術学部, 教授 (10128689)
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Keywords | 仏文学 / 比較文学 / 文学論 / 神経科学 / 触媒・科学プロセス |
Research Abstract |
今年度は、父も兄もルアンの名医であったという、医学に深い関わりを持つ環境に育ったフロベールの出世作『ボヴァリー夫人』(1857)における主人公エンマの気鬱ぎ(神経症)の病状を、若いフロベール自身が実際体験した病状と照らし合わせ、さらに18世紀から19世紀にかけて進展したフランスにおける精神医学の潮流を鑑みて、物品費で購入した資料・文献を基に研究を重ね、19世紀半ばにおける、文学と医学の相互関係を緻密に分析した。これらの成果については京都市立芸術大学紀要に和文「エンマ・ボヴァリーの気鬱ぎと当時の医学」と欧文(仏語)Les vapeurs d'Emma Bovary etla medecine officielle de l'epoqueで発表した。なお欧文版は、パリ・ソルボンヌ=ヌヴェル大学出版会から2008年度中に出版予定の『フロベールと科学「ボヴァリー夫人」出版150周年記念号』に掲載される。 また文学研究の根幹である文章分析に関して、白水社版月刊誌『ふらんす』連載記事「対訳で楽しむ『ボヴァリー夫人』」(2007年9月号から2008年3月号まで全6回)で発表し、『ボヴァリー夫人』にみるフロベール文学の緻密な文章分析をとおして、エンマ病状の悪化が如何に見事に段階を踏まえて叙述されているかを分析した。
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Research Products
(3 results)