2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520251
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
西村 賀子 Wakayama Medical University, 保健看護学部, 教授 (30180649)
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Keywords | 古代ギリシア / ジェンダー / 喜劇 / 悲劇 / 文学 |
Research Abstract |
一昨年度から昨年度にかけてはアテーナイ演劇だけではなく、古典学全体におけるジェンダー研究の歴史を振り返り、近年の動向を調べ、未来を展望する論文を器用に提出した。古典学とジェンダーの関係についての研究はわが国にはあまりないため、有益であろう。この論文では古代ギリシアにおけるジェンダーとセクシュアリティーの研究が1970年代から活発になり、21世紀に入った現在、どのような動向に向かっているかを述べた。古代ギリシアの喜劇に関しては、「ギリシア喜劇とジェンダー」という論文を2008年11月に発表した。この論文では、アリストパネースのいわゆる女もの三篇を取り上げ、服装倒錯とスピーチ、ステレオタイプに焦点を合わせて論じた。女もの三篇ではこの三つの要素が相互補足的な関係にあり、最終的には祝祭へと収束するという結論を得た。2009年にはその三篇のうちの一遍である『女の議会』のギリシア語原典から日本語への翻訳を刊行した。喜劇前週に関しては、断片の仕事も残っているが、現存は仕上げ段階に入っている。 以上のような仕事に携わるなかで、喜劇とジェンダーについての研究意識もますます先鋭化していると言えよう。今後の執筆予定としては、『オデュッセイア』に関する書籍の原稿完成とエレゲイア詩集の原典からの翻訳がある。時間何に完成させるべく、鋭意研究努力中である。
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Research Products
(2 results)