2008 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀イギリスの帝国主義をめぐる言説における文学とジャーナリズム、政治の関係
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19520252
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
天野 みゆき Prefectural University of Hiroshima, 人間文化学部, 教授 (50258282)
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Keywords | 英米文学 / 帝国主義 / H・マーティノウ |
Research Abstract |
1.19世紀イギリスを代表するジャーナリストの一人、ハリエット・マーティノウの政治に関わる著作と『自伝』との関係を探ることで、彼女がイギリスとアメリカにおいて政治、文学、社会活動の領域におよぶネットワークを最大限に活用しながら、様々な社会問題について積極的に提言を行ったことが明らかになった。『自伝』は多くの政治家や出版者、作家の実態を暴露、批判しており、特に、アメリカ滞在時に奴隷制反対の立場を表明してからの経験は、『アメリカの社会』の背景として興味深いだけでなく、マーティノウの信念や帝国意識を考察する上で非常に重要である。彼女の人生そのものが19世紀における文学とジャーナリズム、政治の関係のありようを示しているのである。 2.British Libraryにおける調査により、マーティノウがDaily Newsに投稿した論説のうち、帝国主義と深く関わるものを収集し、分析を開始した。インド、アイルランド、戦争、女性の問題に関するものである。特に、インドやアイルランドに関する論説は、それ以前に出版された著作との関連において意義深い。 3.帝国主義に関わるマーティノウの著作のうち、『アメリカの社会』、『東方の生活、過去と現在』、『アイルランドからの手紙』は旅行記の範疇に入れることができる。これらの分析を通して、彼女の帝国意識は個人としてのアイデンティティの形成および美意識の変革と深く関わっていることが明らかになった。論文「源流への旅--『東方の生活、過去と現在』」を投稿した(平成21年出版予定)
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