2008 Fiscal Year Annual Research Report
シュトゥルム・ウント・ドラングとヨーロッパ文化史との比較研究
Project/Area Number |
19520263
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
今村 武 Tokyo University of Science, 理工学部, 准教授 (60385531)
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Keywords | Sturm und Drang / ドイツ文献学 / 概念史 / 文化史 / 比較研究 / 国際情報交換 / ドイツ / J・M・R・レンツ |
Research Abstract |
平成20年度の研究実績 学会発表と論文においては一昨年度より継続しているバルト海沿岸地域における疾風怒濤研究の成果をドイツ語および日本語により発表した。国際学会であるアジア・ゲルマニスト会議において、シュトゥルム・ウント・ドラング文学の成立に深く関与したバルトドイツ人社会と土着の人々との関連性について発表し反響を得た。 結果として明らかになった研究成果は、バルト海沿岸地域におけるドイツ人の入植の歴史と、その後の啓蒙思想の実践的展開との関連、いわゆる「未発達」な言語の価値の発見と方言の見直し、文化的発展における時間的差異という価値の転換とその文学における発露の指摘である。これらの問題性を、シュトゥルム・ウント・ドラングを軸に研究発表した例は少ない。植民地と外国、支配と被支配といった関係が複雑に絡み合うこの地域の歴史と文化の諸相の研究は、ヨーロッパ文化史研究に新たな視点をもたらすはずである。 また、ドイツのオルデンブルク大学研究滞在を通じて、特にデンマークとスイス地域におけるシュトウルム・ウント・ドラング関係の貴重な資料を収集した。ドイツの研究者と関連テーマによる共同研究を開始する方向で協議をしている。 比較文化史的観点から、いくつかの興味深いテーマが浮かび上がり、研究グループを日本でも組織する方向で準備を進めている。
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Research Products
(7 results)