2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520279
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
関谷 一彦 Kwansei Gakuin University, 法学部, 教授 (40288999)
|
Keywords | 18世紀フランス文学 / リベルタン文学 / 『哲学者テレーズ』 / 挿絵版画 |
Research Abstract |
2008年度は1.『哲学者テレーズ』(以下『テレーズ』と略す)の資料収集と翻訳、2.リベルタン小説『テレーズ』についての分析と挿絵の研究に取り組んだ。 1.については、7月から9月にかけての約2ヵ月半フランスに滞在して、フランス国立図書館(BNF)、リヨン市立図書館、モルレー市立図書館で18世紀のリベルタン小説、とりわけ『テレーズ』の資料を収集すると同時に、『テレーズ』の翻訳に取り組んだ。また、『テレーズ』は18世紀のベストセラーに挙げられるリベルタン小説で、その理由の一つに挿絵が読者の関心を刺激した点を指摘できる。こうした理由からさまざまな版の挿絵に目を通し、可能な限りその収集を目指した。この翻訳は現在出版社を検討中であるが、できるだけ早く刊行したいと考えている。 2.は1.の延長にあるもので、集めた資料から『テレーズ』の諸版を比較検討し、またテクストに散見される唯物論哲学の系譜を当時の文脈から考えようとしたものである。まず初版本の問題、作者の問題、テクストにみられる当時の思想の系譜、また『テレーズ』とサドのテクストとの関係、さらには挿絵の問題などを検討した。先にも触れたが『テレーズ』の多くの版はエロティックな挿絵を含んでいる。エロティックな版画についての研究はまだ少なく、版画の比較検討、版画のもつ意味についても十分な検討が行なわれてこなかった。こうした視点から、テクストと版画の分析を行ない、論文としてまとめたものを発表予定である。
|
Research Products
(1 results)