2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520279
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
関谷 一彦 Kwansei Gakuin University, 法学部, 教授 (40288999)
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Keywords | 18世紀フランス文学 / リベルタン文学 / 『哲学者テレーズ』 / リベルタン版画 |
Research Abstract |
2009年度は以下の三点を中心に研究に取り組んだ。 1.『哲学者テレーズ』の翻訳 2008年度から継続しているリベルタン小説の中でも中心的な役割を果たしている『哲学者テレーズ』の翻訳をほぼ完成させた。2010年秋に人文書院から刊行される予定である。 2.論文「18世紀フランスのリベルタン小説:『哲学者テレーズ』」 2009年6月3日に本学の法学部外国語研究室でこれまでの研究成果を踏まえて研究発表を行ない、その時の議論を考慮しながら上記論文を発表した。また、引き続き『哲学者テレーズ』およびリベルタン小説に関する資料を集め、それらを分析、検討した。 3.論文「『哲学者テレーズ』におけるリベルタン版画」 今年度もっとも力を注いだのはリベルタン版画についての研究である。リベルタン版画の研究はこれまで猥褻を理由にあまり研究対象にされてこなかった。しかしながら日本の春画が見直され、アカデミックな世界で次々と研究成果が発表されているのと同様に、リベルタン版画も見直しが進んでいる。『哲学者テレーズ』は挿絵数も多く、版によって挿絵も異なり、版画の研究対象として格好の素材である。今年度は『哲学者テレーズ』に関して集められるだけの挿絵を集め、比較検討した。こうした研究からわかるのは、挿絵はテクストの単なる説明ではなく、自立したもので、また挿絵には時代精神が描き込まれている。挿絵の役割、挿絵画家、鑑賞者についてなどまだまだよくわからないことも多く、今後の研究が待たれる未開拓の研究領域である。上記論文では、『哲学者テレーズ』の挿絵の分析から挿絵の特徴や役割について新たな視点を提起した。2010年度夏までには刊行の予定である。
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Research Products
(1 results)