2009 Fiscal Year Self-evaluation Report
Study on the relation of Mallarme's theater aesthetic with Republic
Project/Area Number |
19520280
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
ヨーロッパ語系文学
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Research Institution | Kobe University (2008-2010) Kobe Women's University (2007) |
Principal Investigator |
NAKAHATA Hiroyuki Kobe University, 大学院・人文学研究科, 准教授 (70362754)
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Project Period (FY) |
2007 – 2010
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Keywords | ステファヌ・マラルメ / 演劇 / フランス第三共和制 |
Research Abstract |
本研究は「演劇についての覚え書」(1886-87)を出発点とし、『ディヴァガシオン』(1897)へと至るマラルメ演劇論の成り立ちを通時的に捉える視点を持つと同時に、それらの劇評が書かれ、演劇論として要約され、纏められ、また解体されるそれぞれの時期における、その目的・効果などを、同時代の演劇・社会状況やマラルメの演劇観の進展・洗練を視野に入れながら、共時的にも考えようとするものである。筑摩書房刊『マラルメ全集』における渡邊守章氏の仕事が詩人のテクストから抽出される「未来の祝祭演劇のパラダイム」を明らかにしようとする理念的なものへと向かっているのに対し、我々はあくまで実際に上演された(読まれた)作品との批評的格闘によって生成・展開するマラルメのエクリチュールに焦点を当てるとともに、「演劇についての覚え書」が濃厚に有する社会・政治批判的な側面を詩人の演劇論においても強調したい。「社会的矮小化の代償として<国家>に要求する権利」として演劇をみていたマラルメは、1885年以降ようやく機能し始めた第三共和制に対する期待と失望を、演劇の批評を通して、演劇の問題に限定して語っているのであり、その劇評には「犠牲の論理」を押し付ける国家、すなわちエルネスト・ルナンが指し示すような国民国家に対する人間としての正当な権利要求という側面があるのではないか。そして、社会における演劇の必要性を詩人はどのように主張するのか。我々はマラルメの演劇論を単に美学的・哲学的にだけ読むのではなく、社会的・政治的にも読み得ると考えている。
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Research Products
(4 results)