2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520285
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
後藤 秋正 Hokkaido University of Education, 教育学部, 教授 (60111184)
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Keywords | 中国文学 / 文学論 / 唐詩 / 杜甫 / 詩語 |
Research Abstract |
杜甫の詩に用いられている詩語の特質を考究するための基盤的で不可欠な準備作業として、杜甫の詩(『九家集注杜詩』)の一字索引である『杜詩引得』(哈仏燕京学社、台北1966影印)を底本とし、詩語(合成詞)の部分を中心として、その掲出の仕方を全面的に見直す補正作業を実施している。この作業の成果は、「『杜詩引得』補記」として、「北海道教育大学紀要」(人文科学・社会科学編)に継続して発表している。このうち、(I)〔心〜米〕と(II)〔下〜人〕については既に公表しており、(III)〔入〜閉〕については「北海道教育大学紀要59-1」に投稿したところである。研究初年度においては、『杜詩引得』全体の、3分の2程度の見直し作業が完了している。この作業が20年度中に終了し、既に作成を終えている「『杜詩引得』詩題一覧-『九家集注杜詩』・『杜詩詳注』・『続国訳漢文大成杜少陵詩集』-」と合わせて公表された際には、杜甫研究者のみならず、広く中国古典文学研究者にとって重要な工具となり、研究上の多大な便宜を提供することになる。 また、上記の作業と並行して杜甫の用いる詩語自体の特質に関する研究も進めており、その一環として「因人」の語について論じた「杜詩『因人』考」は、「中国文化第66号」(中国文化学会)に投稿し、掲載されることが決定して初校を終え、6月中には刊行される予定である。また、このほか、「詩語」という言葉自体が中国古典においていかなる意味を有して用いられてきたのか、その史的推移の様相と特色についても検討を加えており、「札幌国語研究13」に投稿した。さらには杜甫の詩における「東西南北」「独立」(「独坐」)などの詩語を取り上げ、他詩人との用例の比較を通して論ずる論考をまとめつつある。これらについても、順次公表する予定である。
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