2007 Fiscal Year Annual Research Report
媒介者としての独歩文学-ヨーロッパから日本、そして韓国へ
Project/Area Number |
19520290
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
丁 貴連 Utsunomiya University, 国際学部, 教授 (80312859)
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Keywords | 媒介者 / 比較文学 / 比較文化 / 韓国文学 / 欧米文学 / 日本文学 / 国際情報交換 / トランスナショナル |
Research Abstract |
本研究は、1.「媒介者としての独歩文学1-ワーズワース"There was a Boy""The Idiot boy"から独歩「春の鳥」、そして田榮澤「白痴か天才か」、2.「媒介者としての独歩文学II-モーパッサン「港」「隠者」から独歩「運命論者」、そして金東仁「ペタラギ」」、3.「媒介者としての日本文学-ヨーロッパから日本、そして韓国へ」を3年間で行う。研究初年度である本年度においては、主として基礎研究の資料収集及び先行文献、資料などの解読にあてた。本年度に行った具体的な内容及び意義は以下の通りである。 (1)具体的な内容 まず資料収集に関しては、アメリカミシガン大学とカリフォルニア大学図書館、韓国高麗大学と徳成女子大学と国立中央図書館、日本東京大学図書館と国会図書館を利用した。これらの図書館では研究に必要なたくさんの資料が閲覧できたばかりでなく、貴重な文献を多く収集することができた。 次に収集した資料を、先行研究と照らしあいながら解読及び分析を行った。分析の対象となった作品は、(1)ワーズワース"There was a Boy""The Idiot boy"とモーパッサンの「港」「隠者」(2)国木田独歩「春の鳥」「運命論者」、(3)田榮澤「白痴か天才か」と金東仁「ペタラギ」である。この作業によって、これまで不明であった点を明らかにすることができた。 三番目に、収集した資料と先行文献、作品を分析するに当たっては、ミシガン大学アジア言語文化学部助教授ZWICKER, Jonathan Elias氏らとカリフォルニア大学ロサンゼルス校日本研究センター助教授Michael Bourdaghs氏ら、韓国高麗大学校助教授鄭柄浩氏と徳成女子大学校教授呉敬氏と意見交換を行った。諸先生との意見交換からはこれまで気づかなかった、あるいは不明であった点を解明する上で重要なヒントを多く得ることができた。 (2)意義 以上、1年間にわたって行った資料収集及び閲覧、研究者との意見交換、そして資料解読及び作品分析は、本研究が目的としている「媒介者としての独歩文学」、ないしは「媒介者としての日本文学」という、これまでの日本文学、または比較文学が明らかにすることができなかった新しい面を提示する上でなくてはならない重要な作業である。その成果はこれから学会発表等を通じて順次紹介していく予定である。
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