2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520292
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
大塚 秀高 Saitama University, 教養学部, 教授 (30126007)
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Keywords | 前漢書平話続集 / 全漢志伝 / 両漢開国中興伝誌 / 漢書故事大全 / 輯校本 |
Research Abstract |
前年度に作成済の前漢書平話続集の上巻とこれに対応する両漢開国中興伝誌ならびに全漢志伝を対照させた輯校本に続き、続集中下巻部分についても同様の輯校本を作成した。次いで、これを仔細に検討し、前漢書平話続集から両漢開国中興伝誌、前漢書平話続集から全漢志伝への書き換えの傾向、ならびに全漢志伝と両漢開国中興伝誌の相違のよってきたるゆえんを考察し、両者が前漢書平話続集を祖とする親子の関係にはなく、兄弟、あるいはいとこの関係にあることを明らかにするとともに、続集に先行する部分についても、対応する両漢開国中興伝誌と全漢志伝の分量、ならびに両者の上記の傾向に照らし、前漢書平話正集一集分ではなく、前漢書平話前後集二集分であった蓋然性が高いことを明らかにした。また、現存する両者の版本を書誌学的に検討し、両者それぞれについて、現存の形で出版されるに至る以前における出版経緯につき、具体的に論証した。さらに、スペインの修道院で発見された漢書故事大全とこれに対応する全漢志伝ならびに両漢開国申興伝誌を対照した輯校本を作成し、この穣討を通じ、後漢書平話に相当する作品が存在しており、上記三文献はいずれもそれを受け継いでいる可能性が高いことを確認した。その後、前漢書平話続集に先行する前後集部分につき、両漢開国中興伝誌・全漢志伝を対照させた揖校本を作成し、前漢書平話続集から両者への書き換えの傾向の検討を通じて得た所見にもとづき、失われた前漢書平話前後集の本文復元の試みを実行した。この結果として、個々のエピソードの前漢書平話前後集における存否については高い蓋然性で指摘することができることがわかったが、予想通り、本文の確定まではむずかしいことがわかった。
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