2007 Fiscal Year Annual Research Report
インド古代説話の形成-『ブリハット・カター』のカシミール伝本形成を探る
Project/Area Number |
19520294
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Research Institution | The Eastern Institute |
Principal Investigator |
柴崎 麻穂 The Eastern Institute, 研究員 (30342679)
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Keywords | その他の外国文学 / インド古代説話 / 『ブリハット・カター』 / クシェーメーンドラ / ソーマデーヴァ |
Research Abstract |
研究計画・方法:カシミールのBK伝本のBKMとKSSはいずれも全18巻よりなる大部の説話集であるが、その枠物語の内容は次の三部分-I.Brhatkatha起源譚、II.ウダヤナ王行状記、III.ナラヴァーハナダッタ(Nv)王子行状記-によって構成されている。このうち、カシミールの二伝本間に不一致がみられるのは、枠物語の中心となる第III部、特に主人公(Nv)の誕生の経緯(第4巻)と青年期から結婚の経緯(第7,8巻)、そして様々な冒険を経た後に、半身族Vidyadharaの転輪王となったNvが親族一同の前で、自らの半生を語る場面(第18,19巻)である。 1)基礎研究(テキスト講読):そこで本年度は、第III部ナラヴァーハナダッタ(Nv)王子行状記の冒頭部分にあたる、第4巻-Nvの誕生の経緯-と関連箇所をBKMとKSS、BKSSの三テキストの一部を読み進め、分析の基礎データを収集した。(消耗品費)。 2)関連文献・資料の調査と収集:1)で講読の対象となる枠物語部分(第4巻)に関連する論文・研究を調査し、必要に応じて随時それらを複写・購入した(設備備品・国内旅費・その他)。まず、国内で閲覧できる諸外国の図書館等が発行した写本カタログなどを網羅的に調査した(消耗品費)。この調査をもとに次年度以降、海外で関係文献・資料の調査・収集(外国旅費・設備備品費・その他)を行う。 3)現存テキストの校訂:1)のテキスト講読と平行して、テキストの校訂作業を行った。初年度は、すでに入手ずみのBKM写本を用いた校訂を主とした(消耗品費)。
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