2011 Fiscal Year Annual Research Report
インド古代説話の形成-『ブリハット・カター』のカシミール伝本成立を探る
Project/Area Number |
19520294
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Research Institution | 財団法人東方研究会 |
Principal Investigator |
柴崎 麻穂 財団法人東方研究会, 研究員 (30342679)
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Keywords | インド古代説話 / 『ブリハット・カター』 / クシェーメーンドラ / ソーマデーヴァ |
Research Abstract |
本研究は『ブリハット・カター』(BK)研究ではあまり顧みられなかったクシェーメーンドラに重きを置き、唯一完本が残るカシミール伝本の物語構成の発達・変遷について調査・研究を行ってきた。 平成23年度は、基本研究では引き続き『ブリハット・カター』の主人公であるナラヴァーハナダッタ王子の行状記の「青年期から結婚の経緯」(第7,8巻)を読み進めた。テキスト分析に予想以上に時間がかかってしまったこと、また10月半ばから体調を崩し研究の遂行に多いに支障をきたしたことにより、読了には至れなかったため、平成24年度中早々に読了し、本研究の総括作業に移行する。 また、写本調査については、23年度中は現地調査を行うことはできなかったが、諸氏のご好意によりインドでの現地調査の基盤が整ったため、デリーのIGNCAや関係機関の方々の協力をあおぎながら、こちらもインドの写本状況の調査を継続してゆく。 これまでのテキスト分析や関連文献の調査から推測されるのは、クシェーメーンドラがカシミールに伝えられたBKのストーリーラインにほぼ忠実に『ブリハット・カター・マンジャリー』を書き上げたのに対して、ソーマデーヴァは、何らかの意図をもってカシミールBKを部分的に改編し『カター・サリット・サーガラ』を執筆していることである。その意図については、今後の総括研究で検証したい。 夏のアメリカ出張で、本研究とアジア圏(特に中国古典)の説話文学との接点や共通点について貴重な示唆を得た。今後野課題として、中国古典の説話文学の歴史や関連資料の収集・調査を少しずつ進めてインドの古代説話との比較も行いたい。
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