2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520298
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
齊藤 大紀 University of Toyama, 人文学部, 准教授 (70361938)
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Keywords | 中国 / 現代文学 / 北京 / 文学結社 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に引き続き、『世界日報副刊』の目録作成の基礎作業を行った。また北京大学図書館に赴き、胡也頻『聖徒』、『四星期』、『詩稿』の民国時期に出版された版本を収集した。これらの版本は、日本国内では容易に目睹できるものではない。さらに趙景深が1920年代の北京文壇を回想した『文人剪影』も収集した。これも現在日本国内では目睹できないものである。これらの資料の精読を行っているところである。 また今年度は、前年度に于〓虞の詩作活動について中国文芸研究会で報告を行い、それを論文として発表した。この「于〓虞の詩-.18事件、『晨報・詩鐫』をめぐって-」は、日本における最初の于〓虞の専論である。1920年代の北京にあって人気のあった詩人の一人に于〓虞がいる。現在ではすでに忘れ去られた感のある于〓虞ではあるが、当時は"悪魔派詩人"とされ、死者に親近感を寄せる独特の世界を築いた詩人であった。本論文は、于〓虞の詩の世界を概観し、特に1926年3月18日に北京で起こった3.18事件が于〓虞に与えた影響を中心に論じた。1926年3月に起こった3.18事件とおよび翌4月に創刊された『晨報・詩鐫』が于〓虞の詩作に与えた影響を明らかにしたものである。さらに「于〓虞の詩」の続編として、「消費される感傷-沈従文と于〓虞」を執筆・発表した。1920年代の沈従文は、最も好きな詩人として于〓虞をあげていた。本論文では、沈従文と于〓虞の交流の足跡を検証し、両者がともに『晨報・詩鐫』に対してやや距離を置いていたことを論じた。さらに沈従文と于〓虞が当時創作した詩を比較検討し、沈従文は多くのスタイルを実験しているのに対し、于〓虞はほぼ格律詩のみを創作していることから、沈従文の詩人としての柔軟性を論じた。
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Research Products
(2 results)