2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520299
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉村 正和 Nagoya University, 大学院・国際言語文化研究科, 教授 (10033408)
|
Keywords | 翻訳理論 / 比較文学 / 解釈学 / 文化研究 |
Research Abstract |
平成19年度は、同化と異化という翻訳の文化戦略に関する最新の研究について、その関係資料の収集と分析にあたった。翻訳者は文化と文化の中間にあって、その両者の文化形成に重要な影響を与える。異化の戦略は、現実の政治や文化において自然化している文化的な非対称関係を問題化するために、語彙や文体が文化的差異を浮き上がるようにすることにより、政治的・実践的な役割も担っていることを検証した。 本研究においては翻訳における解釈行為を援用して、20世紀初頭の抽象絵画における創造行為が最新の批評行為と同一の歩調を取っていることに着眼し、翻訳理論と美学理論の特殊な関係を考察することにした。解釈学的戦略が、言語の外面的な語義や哲学的・寓意的な意味を超えて展開する神智学的創造理論にも接続していることを想定して研究を進めた。 翻訳研究に関する最新の資料、特に翻訳理論関係の学術誌に掲載された資料については、インターネット及び電子図書館を利用した調査によって基本情報の収集を試みた。平成19年度夏季休業期間の2週間を利用して、ロンドン大学図書館(連合王国)及びヘルシンキ大学図書館(フィンランド)において、日本では直接入手できない資料を閲覧した。
|