2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520308
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
木之内 誠 Tokyo Metropolitan University, 人文科学研究科, 教授 (50195327)
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Keywords | 中国文学 / 東洋史 / 都市文化研究 / 地図制作 / 上海 |
Research Abstract |
地図改訂の作業の初年度として、基礎資料の蓄積と、作図上の書式の改訂のための試行的作業が中心となった。上海現地は、2010年の万博開催に向けて、依然として非常なスピードで都市基盤の整備、再開発が進んでいる。この現状のなかで、その最新状況反映しつつ、上海という場所の持ってきた意味を、歴史の厚みのなかで感得できるような地図を作るためには、どのような改訂であるべきかということが、まず吟味されなければならなかった。市街地の急激な更新期にあたって、旧版刊行以後進行した旧街区の改造については、個々の建造物の表示に止まらず、ゾーンとして色分け明示する方法を試行した。また、個別の建造物について、旧版では、官庁、学校、娯楽施設、住宅など、施設としての用途別の色分け表示を行っていたが、今回の改訂では、「石庫門住宅」、「新式里弄」、「花園住宅」、「公寓」など建造物の構造種別に応じた色分けの表示を試み、色彩も実体の建造物の外観に沿ったものを工夫し、3D化した建物表示、街路樹の明示とあわせて、視覚的直感的な了解性を高め、現実の街の歩きながら使う人にとって、より分かりやすい地図に近づけるべく試行検討を重ねた。 旧版刊行以後、現地当局の文化財行政の進展により、各レベルの文化財に指定された建築物の数も飛躍的に増加している。今回、これらの指定建造物類を新たに図上に表示すべく改訂の作業を続けた。また、『上海道路交通指南』など最近刊行された詳細な市街地図集や、オンライン上で利用可能な「グーグル・アース」の衛星画像など、旧版制作時には利用可能となっていなかった新資料による、全面改訂の作業を続行し、予定される全34図幅のうち、十数枚の図幅について基本的な作図を終えることができた。実地調査および資料収集のため、2007年8月、11月、2008年2月の三度にわたって上海に滞在して、主に黄浦区、静安区、盧湾区の市街地の踏査を行った。また、2007年9月に来日したフランス・東亜研究院のクリスチャン・アンリオ教授と面会し、彼が構築中の上海地図データベースに関する、資料面での学術交流を行った。
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