2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパ文学における冥界場面の解明を基礎とする比較作品論および比較文化論的研究
Project/Area Number |
19520310
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
佐野 好則 International Christian University, 教養学部, 上級准教授 (50295458)
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Keywords | 西洋古典 / イタリア文学 / 英文学 / 比較文学 / 思想史 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き『オデュッセイア』、『アエネーイス』、『神曲』、『失楽園』に関する原典の文献学的な調査を進めるとともに、今年度は、これらの作品の作品論的な研究に重点を移して研究を発展させた。 科学研究費補助金によりオックスフォード大学ボドレイアン図書館においての文献調査のための研究旅行を実施し、各作品の文献学的調査、および作品論的な検討のために必要な文献の調査および収集を実施した。その際に、同大学所属研究員であるMalcolm Davies博士、Jeyaraney Kathirithamby博士、Stephen Harrison博士と、作品論的研究の方向性について意見交換を行った。この研究旅行以後も文献調査を進め、当研究機関に所蔵されていない必須文献のうち、購入可能なものについては科学研究費補助金を用いて購入し、それ以外のもので国内の研究機関に所蔵されているものについては文献収集のための研究旅行を実施して、必須文献の収集につとめた。 これらの文献を用いて、比較作品論的な観点から調査を進めることにより、従来の個々の作品についてのみの作品論研究においては見過ごされて来た各作品の意義を見いだすことをつとめた。 この成果の一部として、2009年3月6日に実施した研究会「西洋古典とダンテにおける冥界場面」において、研究代表者佐野好則は講演「『オデュッセイア』と『アエネーイス』の冥界描写をめぐる若干の考察」を行い、『オデュッセイア』における冥界訪問における特殊性について、死者予言のパターンを踏襲するものと解することにより新たな観点からの解釈を提示した。さらに同研究会の中で招待講師日向太郎は講演「神話と歴史の交錯-ダンテ『神曲』地獄篇第30歌の場合」を行い、ダンテ『神曲』地獄篇第30歌における神話的題材と歴史的題材との統一的な解釈を新たに提示した。これらの研究発表について参加した研究者と意見交換を行った。 さらに本研究の関連業績として、研究代表者佐野好則はホメーロス叙事詩のプラトーン対話篇に対する影響に関する学会発表を行った。
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Research Products
(3 results)