2008 Fiscal Year Annual Research Report
日中説話文学史構築のための『法苑珠林』『夷堅志』の比較説話学的研究
Project/Area Number |
19520314
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
三田 明弘 Japan Women's University, 人間社会学部, 准教授 (00277865)
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Keywords | 日中比較文学 / 説話文学 / 志怪小説 / 法苑珠林 / 夷堅志 / 今昔物語集 / 仏教説話 / 聊斎志異 |
Research Abstract |
本年度の主な研究実績としては、初年度において蒐集したデータを分析し、中国唐宋期の哲学・政治・社会状況に関する研究を援用しつつ、『法苑珠林』『夷堅志』の作品世界の解明を進展させ、その成果を学会発表等の形式で公にしたことが挙げられる。また、データベースの作成作業においては、高度な検索機能を有するデータベースソフトの導入により、入力したデータをより有効に活用できるようにした。以下に項目別に、その詳細を記載する。 1.特定キーワードによる作品論の展開『法苑珠林』『夷堅志』はどちらも非常に大部な作品であり、その全容の解明に至るステップとして、特定キーワードに関わる説話を抽出して分析するという方法による研究を行った。『法苑珠林』については「破邪」、『夷堅志』に関しては「女性」「アウトロー」「演劇」等をキーワードに設定した。 2.説話データベースの拡充『法苑珠林』『夷堅志』以外の中国の代表的志怪小説集『捜神記』『聊斎志異』のデータベースへの取り込を試み、また、初年度において作成した各説話カードのうち関連のあるもの同士を相互にリンクさせ、データベースをより立体的な奥行きのあるものへと発展させた。さらに、唐宋の説話データを分類するための代表的話型・モチーフを選定し、取り込んだ。 3.日本の説話と『法苑珠林』『夷堅志』説話の比較研究共通するキーワードやモチーフを手がかりに、『今昔物語集』『三国伝記』等の日本の説話に関する情報をデータベースに取り込む作業を開始した。 4.国内及び国外の図書館などにおける善本の調査国内では、『法苑珠林』『夷堅志』の和刻本に関する調査等を行い、また、台湾において『法苑珠林』『夷堅志』諸本の調査を行った。
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Research Products
(6 results)