2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520315
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
加藤 めぐみ Meisei University, 日本文化学部, 教授 (30247168)
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Keywords | 英語圏 / 豪文学 / 太平洋戦争 / 日豪関係 / 比較文学 |
Research Abstract |
本研究は,オーストラリア(以下,適宜豪)文学において太平洋戦争の記憶がどのように表象されているかを調査することにより,太平洋戦争についての豪社会の公的記憶の創造の過程と文学の関与,また日本の記憶との非対称性を明らかにすることを目的としている。 平成19年度はまず,敵性外国人となった北部準州の日本人の戦争文学における表象についてすでに行ってきた,北部準州ダーウィンと日本人についての関連継続研究を,Association for the Study of Australian Literature(豪文学学会)全国大会(於クィーンズランド大学)で発表した。また研究の方向性について関連分野の研究者との打ち合わせを行った。 その結果をもとに8月に西オーストラリア州ブルームにおいて地域作家の資料を収集し,研究者との打ち合わせを行った。さらにパースの西オーストラリア大学において資料収集,及び研究者との打ち合わせを行った。これらの資料を分析・考察し,課題研究テーマのうち,オーストラリア北部及び北西部の日本人と太平洋戦争の関わりについて,研究ノートにまとめ発表した。これにより,実際に日本軍より本土攻撃を受けた北部・北西部の戦争の記憶形成には,日本人からの関わりが殆ど見られないこと,また敵国人としての日本人の描写は希薄であることを明らかにした。 また,平成20年度の研究展開のため,オーストラリアのいわゆるアングロ=ケルティック系主流作家の作品及び批評文献を収集,講読し,分析を始めた。これに関して,学会及び研究会においてオーストラリア学会,オーストラリア・ニュージーランド文学会所属の研究者と研究打ち合わせを行った。 11月のオーストラリア・ニュージーランド文学会では,本研究もその一部を成す「豪文学に見る日本人像」についての研究発表を行った。
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