2009 Fiscal Year Annual Research Report
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19520322
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 渉 Tohoku University, 高等教育開発推進センター, 准教授 (90293117)
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Keywords | 適用態 / ヴォイス / 複他動詞 / 文法関係 |
Research Abstract |
本年度は、適用態構文の類型論的変異の外延を把握するため、次の8つの調査項目について、前年度に引き続いて調査を行った。 (1)適用態標識の諸タイプ (2)適用態標識が付く自他のタイプ (3)適用態の生産性(適用態と適用態の適用対象である動詞の結合形態の語彙化に伴って生じることが予想される語彙的な制限を受けずに適用できるか否か) (4)適用態が増項(節内の統語的項の数の増大)を伴うか否か (5)適用態が引き起こす統語的変化(動詞の周辺的項/付加詞が統語的芯項に「格上げ」されるか否か、格上げされる場合でも、直接目的語/受動者に格上げされるか、或いは直目/受動者より卓立性が落ちる間接目的語/斜格項に格上げされるか) (6)適用態構文が生起する統語的環境(情報構造上の制限を受けるか否か、関係代名詞化及び主題化などの統語的操作を伴って適用態構文が生じるか否か) (7)適用態が統語的に取り立てる周辺的項/付加詞の意味役割のタイプ (8)適用態標識と適用態が取り立てる意味役割の対応関係 なお、適用態構文に適用される格標識・一致標識・相互照応標識の融合現像を記述・説明するための基礎的研究として、役割指示文法及び最適性理論に基づいて、格融合・ジェンダー融合現像の説明を試みた学会発表を行った。その中で、普通的な有標性階層である格階層、ジェンダー階層、数階層から導いた有標性制約、有標性制約と対立する忠実性制約、有標性制約の局所的制約結合等から構成される制約群の相互作用によって融合現像が体系的に説明できることを提案した。
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Research Products
(1 results)