2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520326
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
MIYAMOTO EDSON・T 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (60335479)
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Keywords | 文理解 / 語順 / 日本語 / モーラ数 / 作動記憶 / かき混ぜ文 |
Research Abstract |
本研究では、黙読中での音声影響について次の2点を調べた。 (1)先行研究によると、文中の二つの語の間で意味的な関係を作る際、隣接している語よりも、離れている語との方が難しい。その距離に関しては、語数や談話における指示実体数を用いた数量化が有効であるとされているが、音声的な負荷についての実験結果は管見の限りこれまで報告がない。距離の数量化にモーラ数が有効であるとのことを確認した。実験では、日本語母語話者に「NP1ヲ-NP2ガ-動詞」のような文を読ませた。NP2の名詞にはモーラ数の多いものと少ないもので、文字数、親密度、頻度、意味の自然さに優位差はないように項目を用意した。その結果、モーラ数の多いNP2を含む項目の方が、モーラ数の少ないNP2の項目より読み時間が長かった。 (2)主語と関係する動詞の間に埋め込み節がはさまれている場合、その主語は埋め込み節の動詞にかかって間違った解釈を与えられることがある。先行研究では、隣接している2つの名詞(N1とN2、例:「森下が新薬を」)のアクセントによる韻律フレージングが主節と埋め込み節の境界の決定に影響することが確認されている。本研究では、読点が節境界の決定に影響することを調べた。読点があることによって、N1が離れている主節動詞にかかりやすくなることは、読み時間の実験とアンケートで確認した。また、別の読み時間の実験結果では、N1とN2の間の読点はN2の解釈にも影響することがわかった。読点があるこのによって、N2は埋め込み節に含まれやすくなって、その解釈と一致する続きの主節がより早く読まれた。
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