2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520329
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
長崎 郁 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (70401445)
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Keywords | 記述言語学 / 危機言語 / コリマ・ユカギール語 / ロシア / シベリア |
Research Abstract |
本研究は、北東シベリアのコリマ川上流域で話されているコリマ・ユカギール語について、現地調査を含む資料の収集と分析を通じ、文法の記述を行うことを目的としている。研究最終年度である本年度は、(1)これまでに収集された談話資料の整理・分析、(2)通言語的な観点からも意義を持つ文法概要の執筆、(3)分詞(participle)や副動詞(converb)といったいわゆる非定形の動詞の機能と非独立的な節のタイプに関する分析、(4)所有接辞(proprietive suffix)の機能と所有構文に関する分析、の4点を課題として研究活動を進めた。(1)については、文法分析付きテキスト1編を雑誌論文の形で成果公開したほか、コリマ・ユカギール語テキスト資料集の刊行へ向けて現在準備を進めている。(2)については、文法スケッチとしてまとめ、論集論文の形で発表した。(3)については、平成22年5月と10月の2度にわたり研究会発表を行った。(4)の成果は論文として今年度中に発表する予定である。また、平成23年2月には、研究成果を広く社会に発信することを目的に、コリマ・ユカギール人の文化と言語についての講演を行った。さらに、平成23年3月にロシア、トムスク国立教育大学において約3週間の現地調査を実施し、日本では入手困難な文献資料を収集するとともに、今後の共同研究の可能性を探るため、同大学におけるシベリア少数言語の研究者と交流を行った。
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