2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19520331
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
野間 秀樹 Tokyo University of Foreign Studies, 大学院・地域文化研究科, 教授 (30237870)
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Keywords | 外国語 / 言語学 / 朝鮮語学 / 国語学 / 言語教育 / 日韓対照研究 / 文法 |
Research Abstract |
本研究の目的は,日本語と韓国語の非対称構造を構造化して描き出すための対照言語学的な基礎研究を行うことにある.非対称構造とは,言語の統辞論的,形態論的な構造を一定の単位に分節してみたとき,複数の言語間においてそれぞれが一対一的,平行的な対応を見せない構造をいう.日本語と韓国語の間には,まるで一対一的に対応しているかのごとき対称的な構造が多々存在する.しかしながら,実は日本語と韓国語の間には,形態論的にはもちろん,統辞論的にも対称構造を見せない場合が数多く存在する.本研究は,日本語と韓国語にあって,対照言語学の根幹をなす重要な課題をなす,こうした非対称構造のありようを追究するものである.平成19年度は言語資料の収集と,本研究の基礎理論の研究を行った.言語資料の収集はテキストデータの形で整理するための研究体制の整備と基礎段階を遂行した.理論的研究については,日本語と韓国語を対照研究的な視点から見てゆくにあたって,それぞれの〈話されたことば〉,〈書かれたことば〉という,言語の存在様式からとらえ返す作業を「言語存在論試考序説I II」(全80ページ)という形で集約した.これは〈誰が誰に向っていかなる場で語るのか〉という,言語が行われる場,即ち〈言語場〉を意識的にとらえ返しつつ,〈話されたことば〉と〈書かれたことば〉という言語のありかたそのものを厳密に区別することぬきに,言語研究を遂行してはならないという考え方による.既存の研究では〈話しことば〉対〈書きことば〉という文体の区別については着目していたものの,言語の存在様式そのものの区別については,意識化が極めて不十分であったという,研究の根本的な基盤から見直す意義を有する作業である.一方で,韓国語学かの立場の文献を「韓国語学のための文献解題」(全19ページ)により整理した.これらの論考は,野間秀樹編著『韓国語教育論講座第4巻』(くろしお出版)に収録した.
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Research Products
(3 results)