2010 Fiscal Year Annual Research Report
生成文法の極小理論における統語上の連鎖の役割と解釈メカニズムについての研究
Project/Area Number |
19520332
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
R・A MartIn 横浜国立大学, 環境情報研究院, 准教授 (30302342)
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Keywords | 理論言語学 / 生成文法・極小理論 / 連鎖(形成・解釈メカニズム) / コントロール構文の分析 / 周縁領域 / 国際情報交換 / 連鎖と普遍性の関係 / 比較統語研究 |
Research Abstract |
マーティン:4年間の本研究プロジェクトの集大成として、メリーランド大学のHornstein教授とバルセロナ自治大学のBoeckx教授を招聘し、平成23年2月12日(土)と13日(日)にわたり2日間の国際ワークショップを開催した。ワークショップではHornstein教授とBoeckx教授の招待講演、連携研究者の遠藤の発表に加えて、国内外から9件の発表が採択(査読付)された。両教授の招待講演では、それぞれの最近の研究から連鎖の概念や連鎖形成を新たな見地から議論し、本研究プロジェクトの研究内容を更に深化させるものだった。San Paulo大学のNunes教授を始めとした発表も最先端の研究ばかりで、連鎖の重要な特質を浮かび上がらせ、連鎖の役割の解明に寄与するものだった。各講演・発表後に、活発な議論を行い、研究プロジェクトの進展に大いに貢献した。又、ワークショップの他に招待講演者及び発表者と積極的に意見交換をし、Uriagereka教授との共同研究と合わせ、連鎖形成に統語計算メカニズムに必須の一致操作が関与しており、連鎖形成を導き、どの言語でも存在が自明である可能性が論じられた。 連携研究者である遠藤は、連鎖と日本語の右方周縁領域の関係について研究し、北京のGLOW in Asia VIIを始め6ヶ所で発表を行い、精力的に研究成果を発表した。特に、連鎖形成が統語構造を派生する中で行われていることに対して有力な証拠を提示し、連鎖の存在とともに統語計算メカニズムの解明に貢献した。 連携研究者である藤井は1件の発表と1件の著書を出版し、研究成果を広範に公表した。日本語の名詞節を中心にコントロール構文と移動の関係、それに関わる連鎖形成について明らかにし、移動分析と日本語の類似性を指摘するなど、コントロール構文における連鎖形成と連鎖の存在の由来を明らかにし、一定の成果を得た。
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